2021年4月より適用されている「同一労働同一賃金ガイドライン」は、正式には『短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇禁止等に関する指針』といい、「働き方改革関連法」の改正として運用開始されました。
本件の趣旨は、パート・アルバイト・派遣社員といったいわゆる「非正規労働者」と正社員である「正規労働者」において、同程度の業務、同じ業務であれば同一の賃金(待遇)をしなくてはいけない、といったもので「ガイドライン(指針)」という名称ですが、法令に近いものと言えます。
もちろん、本件は「非正規労働者」を守るためのものでありましたが、コロナ禍の中、一部の業界・一部の雇用者が(間接的に)影響を受けています。
それは大手百貨店とそこに勤務する中高年(正)社員です。
ある大手百貨店に勤務する友人(50歳代)から聞いた話ですが、インバウンド需要が低迷している真っ只中、本ガイドラインも影響し、会社は中高年社員向けに「早期退職制度」を運用開始いたしました。
ガイドラインを遵守する(同じ業務を行う非正規雇用者を保護する)必要もあり、会社の業績も芳しくない現状から、年齢基準で「早期退職制度」を案内しているようです。
非正規雇用者を保護しましたが、一部の正社員には退職(失業)する虞があるといった皮肉な現象が発生しています。
経済活動が順調であれば、時代に即したガイドラインですが、コロナ禍の中では思わぬ副反応となりました。
また、最近の就職希望ランキングでは、サービス業・観光業・鉄道・航空関連、銀行は少なくなる一方で、地方公務員の志望者が増えています。
ガイドラインの運用開始、コロナ禍、地元&安定志向、の影響があるのでしょう。
若者の動向は「時代を写す鏡」とも言えます。