働き方改革と幸福度調査(日本)
働き方改革やワークライフバランスを考える上でも、「幸福度」という指標や概念は、興味深いです。
日本で最も幸福度が高い都道府県で、どこでしょうか?
「幸福度ランキング2018年版」において、前回(2016年)に続き、総合一位となったのは、福井県です。
2012年、2014年、2016年版に続く、2018年版と4回目の調査結果となります。
福井県が3回連続でトップ、二位は4回連続東京都。
他の都道府県では、長野県、石川県、富山県、愛知県、島根県などが続いています。
ただ、福井県のトップは、他の追随を許さない圧倒的な点数を誇っています。
福井県が一位というこの結果をきいて、「意外」と思われた方も少なくないのではないでしょうか?
私も2016年版の際、驚いた一人でした。このランキングは、日本総合研究所(会長、寺島実郎氏の監修)が発表している
『全47都道府県幸福度ランキング2018年度版』(東洋経済新報社)においての結果であり、
指標が極端に少ないものや単なる母数の少ないインターネットアンケート等ではありません。
この幸福度をはかる指標としては、「基本指標」と「分野別指標」など全70指標におよびます。
人口の増加率や1人当たり県民所得など5つの基本指標と、『健康』『文化』『仕事』『生活』『教育』の5分野の指標など
計70の指標を総合的に分析してランク付けしたもののようです。そして、全70指標の約5割がベスト10入りしていることが、
福井県が、堂々と一位の結果につながっています。
5指標のうち、働き方改革で考えますと、仕事分野と教育分野が特に興味深いです。
仕事分野では、「大卒者進路未定者率1位」「女性の労働力人口比率1位」「インターンシップ実施率2位」です。
福井大学は11年連続、全国で最も高い就職率を誇ります。福井大学のホームページ『学生生活・就職』を見ますと、
とても充実していることがわかります。
就活サポートとしては、「就職で直面するリアルな課題に対し、専門のキャリアカウンセラーがあなたの活動を
全力サポートします」とあります。月曜日から金曜日の10時から17時までを就職相談としており、2日前から2週間前まで
WEB予約が可能ですが、急ぎの場合、来室予約で、当日枠が利用可能とあります。
歯医者さんで、緊急を入れるというシステムと同様です。
全学年対象であり、さらに休学中も利用可能とあり、手厚いサポートをしていることが想像できます。
就職活動プレイスメントガイドやエントリーシート徹底研究などは、民間の就職支援会社さながらの
丁寧さ、親切さ、細かさを感じられます。
福井大学の場合は、アメリカの大学がするように、門戸を大きく広げてキャリア相談をされていて、
すばらしいことだと感じます。女性の労働力率・就業率は、共に全国一です。
労働力率とは、15歳以上人口に占める労働力人口(就業者と完全失業者を合わせた人口)の割合で、
就業率は、15歳以上人口に占める就業者数の割合です。
平成27年国勢調査就業状態等基本集計、平成29年4月27日公表によりますと、
労働力率は、全国62.4%(全国第3位)男性71.7%(全国第9位)女性53.9%(全国第1位)。
就業率は、全国60.4%(全国第3位)男性68.9%(全国第6位)女性52.6%(全国第1位)。
そして、共働き率(夫婦のいる一般世帯に占める共働き世帯の割合)は、58.6%と全国1位です。
生活面の指標である、待機児童率1位、合計特殊出生率1.67(2018年データ)、持ち家率75.7%、
3世代同居率も全国トップクラスからわかることは、女性が働きながら、育児もしやすい環境にあると
いうことでしょう。
福井県のホームページのなかに、「祖父母の育児休暇等の取得を促進する企業を応援します」にも驚きます。
『イクメン』父親の子育てを応援するにとどまらず、祖父母の育児休暇等については、恐れ入ります。
教育面でみても、福井県は、学力1位、社会教育費1位、子供の運動能力1位です。
県が学校教育や社会教育にも力をいれているということもわかります。
福井県や北陸圏の方は、私の少ないサンプルデータからも『働き者、働きさん』が多いということが印象です。
特筆すべきことは、二人以上の1世帯当たりの年間収入は、東京に次いで2位というデータがありますし、
社長輩出数は、帝国データバンクの発表(2016年1月)によると、人口10万人当たりの社長輩出数で
福井県は1453人(15年)でなんと34年連続でトップだそうです。別の調査で、2011年に法政大学が
行った調査「47 都道府県幸福度ランキング」でも、福井県は第1位となっています。
このランキングは、出生率や医療の充実度、治安面や資産率など、40の指標からなっています。
私は、福井県には、スキーや観光(東尋坊、永平寺等)や、最近ではハラスメントの研修で訪れています。
冬の寒さを想像するに「是非住んでみたい!」とまで感じたことはありませんが、私の福井県に対してのイメージは、
①恐竜、②日本酒、③おろしそばです。
福井県に行った時、その地域PRとして、ポスター等でも宣伝している『福丼県』(ふくどんけん)プロジェクトは、
少し驚きました。2014年9月にスタートしたプロジェクトです。
共働きが多いためなのか、外食よりも、総菜を購入するという県民性もあるかもしれません。
油揚げ、がんもどきの支出金額は、1ヶ月平均538円で昭和34年調査開始以降連続1位、
カツレツややきとりを含む「他の料理食品のその他」への支出金額は1ヶ月6,、143円で、
昭和59年以降連続して第一位だそうです。
参考:
『全47都道府県幸福度ランキング2018年版』(寺島実郎:監修、日本総合研究所:編)
東洋経済新報社福井県ホームページ 福丼県ホームページ