Q5.管理職に対して、欠勤控除を行うことはできますか?また、年次有給休暇は必要ですか?

<A>
管理職と呼ばれる地位にあっても、労働基準法の「管理監督者」に全てが該当するわけではございません。まずは労働基準法における管理監督者に該当するかを確認する必要があります。

【管理監督者としての判断基準】
①地位・職務内容・責任・権限からみて、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあること
②勤務態様、自己の出退勤をはじめ、労働時間について裁量権を有していること
③一般の従業員に比べてその地位と権限にふさわしい賃金の処遇を与えられていること

【欠勤控除について】
管理監督者について、「労働時間・休憩・休日に関する規定」は適用されませんが、1日単位での出勤義務を免除するものではありません。出勤義務がある労働日に終日休んだ場合は欠勤となり、ノーワークノーペイの原則により、賃金控除することはできると考えます。但し、遅刻や早退に対しては、過去の裁判例において、出退勤について賃金控除や懲戒処分等を行うことは、管理監督者性を否定する要素の一つとされています。管理監督者については、労働時間の規制を適用しないため、「日々の遅刻早退控除」を行うことは、問題があると思います。

【年次有給休暇】について
管理監督者に適用されないのは、「労働時間・休憩・休日に関する規定」ですので、年次有給休暇に関する規定は適用となります。年次有給休暇は、出勤義務がある労働日の勤務を免除して、通常の賃金を支払うという制度です。年次有給休暇を取得しなければ、出勤日の勤務は免除されません。有給取得5日義務化についても対象となります。

【深夜労働について】
管理監督者には、労働時間に関する規定が適用されないことから、時間外残業手当、休日出勤手当の支給も支払う必要はありませんが、22時以降の深夜残業については、深夜割増賃金を支払う必要はありますのでご注意ください。

【労働時間の把握について】
上記のことから、管理監督者に対しては、労働時間の把握は義務づけられていませんでしたが、2019年4月から義務付けられました。管理監督者を含めた労働時間の把握が必要となります。

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